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ヨーロッパでもアジアでも、その古くの話を訊けば世界にはさまざまなものが残されており、市場は万の物に溢れていたという。つい数日前には90年代の東欧にソ連のものが流入していた頃の話があり、それらもすぐ三々五々に散逸してしまったのだろう──との物語の中で、オーストリアから持ち帰ったという二つの18世紀頃のコレクションを見せていただいた。 一つは1700年頃のイコン画家によって描かれた聖像画で、平板な木にテンペラで描いた小さな作品が額に収められている。聖ゲオルギオスが竜を退治した場面と記されていて、赤い馬に乗った聖ゲオルギオスが金色の光輪や紅いマント、十字の束を手に大地を翔けている。イコンというのは聖書にある忠実なさまを描くもののため、「描く(drawing)」とは云わず「書く(writting)」とするものだそうですが、実際の話に多少の光沢をつけてあるくらいのことはあるかもしれない。ルオーの郊外の絵のように辺りの暗い、けれど愛情のにじみ溢れた作品だった。 そのようなコレクションの人目に触れることのないまま、やがて個人の所有物となるものですが(あるいはアンドレイ・ルブリョフであれば新聞も報ずるかもしれない)、それらを見せていただく折、そのうちから特に気に入った物を一つ二つ択ばせていただくような場面がある。あらゆるものが次々に入れ替わって、紐解く暇もなければみつめる暇もない。その印象について未だ曖昧なまま、 流行や、歳をとることについて話したりしながら包みにしまって一つの箱に収ていく。 ──そのほんの刹那に立ち合い、ただ羨むのみなのであります。 近日、ヨーロッパのものと諸国のものと織り交ぜながらあらたな商品のご紹介を進めていく予定です。 オンラインストアと併せてお楽しみください。

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2025.07.29